「外貨建勘定に関する基本項目」を引継いで、外国にある「支店」営業所や工場の場合、どういうことが起り、何をしなければならないかを述べます。
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| 【1】 |
会計基準が定める、在外支店の本店通貨換算法 |
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本店通貨が¥で、在外支店の通貨が$であるとします。
在外支店は、現地国内取引と諸外国の通貨との取引を$経理するだけでなく、会社の一部として、月次/(四半期)/中間/年次には¥報告しなければなりません。
諸外国 (色々) |
在外支店 → ($) → |
本店 → (¥) |
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諸外国 (色々) |
在外支店が諸外国と外貨建取引を経理するやり方は、本店がそうする場合と同方法でやればいいのですが、問題は本店への¥報告です。
「外貨建取引等会計処理基準」では下記を定めています。
| 在外支店の本店通貨換算法 |
| 1 |
原則として、本店と同様の方法によって円換算する。
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| 2 |
特例として、長期金銭債権債務および非貨幣性項目の額に重要性がない場合には、すべての財務諸表項目(支店における本店勘定等を除く)について、決算時の為替相場で円換算してよい。
この場合、損益項目については期中平均相場でもよい。
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重要性の判断は、原則法によった場合との差が、利益及び剰余金に及ぼす影響に基づく。
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1.は、本店(¥)の立場に立って、自分のところの勘定($)を、発生時に¥評価しておく、という、一見とんでもないことなのです。
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情報屋としては、特例があるからといって、喜ぶわけにはいきません。
「支店における本店勘定等を除く」があるからです。
この意味は何でしょうか?
実は、「支店会計は、発生時に換算だよ」と言っているのです。
連結会計の「支店会計について」の章で、支店会計は、「事業所間のモノやサービスの取引の対価を、貨幣のやりとりに代えて、本店/支店勘定を使って即時決済する」ものだ、と述べました。
即時決済だから、発生時換算に決まっているのですが、以下に説明します。
(1) 本支店間取引の場合
支店なら、本店との取引が無いハズがなく、これはお互いの¥額を一致させておかないと、本支店合併のときに取引相殺できません。
よって、支店は、取引の発生時点で、そのとき本店と取り決めたレートで円換算しておかないと、あとで困ることになります。
社内レートを適用するにしても、その時にその時の社内レートで処置しておかないと、相手は為替相場ですから、いつ社内レートが変更されることになるか、わかりません。
決算時に「あのときの取引の円貨額は幾らだった?」と騒いでも後の祭りです。
(2) 支店間取引の場合
在外支店が複数あると、支店間取引は同一通貨間または異通貨間の取引となり、しかも、「本店」勘定を通して経理しますから、必ず円換算が入ります。
取引発生時に整合させておかないと、それこそ後の祭りです。
(3) 現地取引ではどうか
それでは支店会計に関わらないで、支店が現地国内で取引した場合、どうでしょうか。
その同じ日に、本店でも支店所在国の某社との取引を計上したとします。
同じ会社なのに、「同じ日の同じ外貨建」の各取引が、本店はこの日に採用したレートで、支店は本店への報告時期に、いわゆる決算時レートで、マチマチに円換算するとなると、ちょっとよろしくありませんね。
できれば、支店も、本店が換算計上したレートと同じレートで、その国内取引をその場で円換算しておいた方が、無難といえるでしょう。
これは、統一した社内レートを定めておくと簡単です。
「支店は会社の一部」であるし、情報処理上は、何もかもその場で円換算しておく方がシンプルにいきます。
よって、原則法の場合は、発生時に円換算しておく、とします。
しかし「特例でやりたい」というなら、決算時の円換算法も対処しておかねばなりません。
実は、在外子会社の場合が「特例法」の換算ですので、支店もこの換算が主流でしょう。
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前項に述べたように、本支店間取引・支店間取引に関わる勘定は、必ず円換算して記帳しておきます。
(資本勘定も、その性格上、やはり発生時に円換算しておかなければなりませんが、支店だからこの勘定はありません)
それ以外の勘定は、
| (1) |
発生時に、円換算済である(原則法) |
| (2) |
支店通貨のままである。報告時に円換算する(特例法) |
の、いずれかです。
(1)の、円換算済の場合でも、現預金・短期金銭債権債務は「決算時に決算時レートで再評価」しなければなりませんが、この再評価は、(四半期)/半期/年次位で十分でしょう。
該当する勘定を画面に呼び出して指定レートで評価替し、為替差損益をはじいておけばいいのです。
尚、(1)でも、棚卸資産は(2)の方式で、期中平均レートの適用でしょう。
さて、(2)の場合には次の問題が出てきます。
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支店は会社の一部ですから、毎月末、本店へ円換算した情報を送る必要があります。
月末に、あるレートを適用して、まとめてやればいいのですが、この決算時レートも、いかに毎月末に換算するからといって、1本とは限らない、と構えておきます。
月間に為替の大変動があって、B/S科目はいわゆる決算時直物レートで、P/L科目は月中平均レートで、という可能性もあります。
取引例を示します。
本店から、$40の送金を受け、$100の商品を受取り、規定の社内レート100円で計上しました。
本店も社内レート100円で計上していて、実際の円貨額がレート100円換算で合わない分は為替差損益で処理している、とします。
この商品を$110で国内販売し、現金で$10受取り、残$100は売掛としました。
当月末のB/S、P/Lは下図のとおりです。
これを円換算します。
本店との取引は円換算済ですが、通貨である現金には本店の名前など書いてありませんから、本店から送金された現金も国内で受取った現金も、コミになって円換算されます。
決算時レートは、1本の120円を適用しました。
参考として、損益項目(ここでは売上)は平均レート110円を適用する場合も併記します。
すると下図のようになります。
B/SとP/Lの利益(貸借差)が異ってきます。
1本のレート120円で換算した場合は、円換算済の本店勘定の送金分$40が、レート差(¥120−¥100)×40=¥800、の誤差を産みます。
決算時レートが複数の場合は、さらに錯綜します。
とにかく、発生してくる誤差は、P/L活動結果の財産状態を表すB/Sの貸借差を「正」として、円ベースの為替差損益勘定に加算して調整します。
取引を発生時に換算仕訳し、資産・負債の評価替も適時に差損益仕訳していたら、$ベースは勿論、¥ベースも常に貸借バランスしています。その¥ベース損益も、¥4000ではない筈です。
(注) 報告通貨での損益の振れ 等
在外支店($)が国内取引しかしていなくて、N期と(N-1)期の支店通貨損益が同じなのに、報告通貨損益(¥)が異なることがあります。
これは当然、N期と(N-1)期の報告通貨換算に使ったレート差によるものです。
例えば、レートが100円から140円になり、利益が40%も増大したとしても、国内取引しかしていない支店からみて、「本店の¥が勝手に弱くなっていた」だけのことです。
よって、在外支店の成績は、支店通貨で測ります。
尚、為替相場の変動に対処して、システム的に構えておくことはありません。現実が追随してきます。
例えば、本支店間取引があったら、取引物の単価が勝手に変わっていきます。
本店が支店に$1の商品仕入を命じていたとして、¥100の入金で済んだものが、¥140必要になるので、「$0.7にしろ」と言うかもしれません。
すると、本支店間単価交渉となり、支店は仕入業者との交渉をして、ある$単価に落ち着きます。
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教科書では、支店が本当に当期利益を計上して、それを本店に付替えるように書いてあります。
そうすれば、支店が出した損益が「本店」勘定に加わるため、支店B/Sの貸借もバランスしますが、この処置は決算期にだけ行います。
在外支店では、事業所通貨($)と報告通貨(¥)の2本立てで、P/L、B/Sをつくることになります。
支店が工場なら、両通貨で製造原価明細書も出します。
そして、全ての元帳残高を本店に渡すわけですが、その場合、支店における報告通貨額(¥)を本店の事業所通貨額として渡します。
また、勘定が外貨建なら、その外貨額(例えば、フランスF)を本店の外貨額として渡し、そうでなければ支店通貨額($)が本店の外貨額です。