前提とする業務コンセプト −会計−

在外子会社の親会社通貨換算

「外貨建勘定に関する基本項目」及び「在外支店の本店通貨換算」をうけて、外国に設立した独立法人の販社や生産会社なら、どういうことになるのか、さらに親会社ではどうするのか、も併せて述べます。

【1】 在外子会社と親会社の間に起ること

「在外子会社」というからには、外国に親会社がある、ということです。

  1. 在外子会社といっても、実体として存在している本店をさす場合と、支店を合併した「会社」の場合があります。
    まず、“在外本店”としては、外国の親会社から投資を受けていて、資本金が親会社から見て外貨建の投資勘定に当る、ということです。 子会社の資本金は、親会社が連結時に投資と相殺できなければなりません。
  2. 在外子会社は現地国内支店、在外支店を併せて会社損益を出します。 子会社であっても独立した会社ですから、その財務諸表はここで完結します。 しかし、連結のために報告通貨換算して、親会社へ報告します。 このときに独特な問題が起きます。
  3. 一方、親会社も自分の財務諸表を完結させていますが、それと子会社の財務諸表を併せて、連結財務諸表をつくります。 このときに、在外子会社があると、やはり独特な問題が出てきます。
【2】 在外子会社の資本勘定と利益処分に関わる換算

資本金は、投資を受けたときの発生時レートで親会社への報告通貨額を換算し、これを貫く必要があります。
利益処分で発生する剰余金(留保利益)も、社外流出する配当金・役員賞与も、剰余金の処分も、発生時レートで報告通貨額を換算しておきます。
自分のところの決算には関係しませんが、親会社の連結用に、資本勘定だけは報告通貨換算額を保持しておくのです。

【3】 在外子会社の親会社報告通貨換算

在外子会社として、現地国内支店・在外支店を併せた会社損益(製造原価明細書、P/L、B/S)は、当り前のことをすればいいのですが、丁度、在外支店が事業所合併のために報告通貨でも計算したように、在外子会社は会社連結のために、親会社報告通貨換算して、やはり2本立ての計算をします。

  1. 報告通貨換算
    在外子会社の場合は、在外支店の特例法に当る、
    「決算時レート」による。但し、費用/収益は継続使用を条件に「期中平均レート」でもよい。

    となっています。
    何と、平成7年の改訂までは在外支店の場合の原則法に準じていました。改訂のポイントは、ここです。
    換算の仕方は在外支店の場合と同じですが、次に述べるように、もうB/S貸借差を以てP/L補正するようなことはしません。

  2. 報告通貨での損益計算
    P/Lについては、恐らく、どちらか1本のレートで換算している筈だし、決算や利益処分に関わるレートが発生時レートでも、B/Sに引渡す当期未処分利益は差引計算結果ですから、「子会社P/Lはまっとうである」と扱います。
    すると、B/Sでは、資産・負債は「決算時レート」換算だし、未処分利益はP/Lから引継いだものだし、未処分利益以外の資本勘定は発生時レート法で換算済だから、P/Lの損益を正とした以上、B/Sで貸借の狂いが出てきます。 この差は「為替換算調整勘定」に押しこめて解消します。
    この為替換算調整勘定というのが、在外子会社の報告通貨換算、及び親会社での連結で出現する独特な勘定です。
    これで、親会社通貨でP/L、B/Sができましたので、それを親会社へ送付します。
【4】 親会社における連結の問題

親会社(¥)は、親会社単体のP/L、B/Sを出しています。 在外子会社(F)が円貨でP/L、B/Sを送ってきました。 ここで、連結精算表ベースで連結しますが、次の問題が出ます。

在外子会社が、まとめて円換算してきたが、親会社単体のP/L、B/Sでは発生時に¥で記帳している。 親子間取引があったら、債権債務も費用収益も当然合わない。

本支店合併で会社損益を出すとき、本支店取引が相殺されなければならないように、連結のときは、親子・子会社間取引が相殺されなければなりません。
換算用のレートは、親会社が、a$=bF=cM=・・・=z¥ となるようなレートを指示しますから、子会社間取引は、相殺されます。
ところが親会社は、初めから発生時に¥記帳ですから、親子間取引だけ合わないのです。

この解消は、下記のようにします。

No. 発生する問題 調整方法
(1) 資産/負債・資本勘定の突合で合わない分 (B/S) 「為替換算調整勘定」に押し込む。
(2) 費用/収益勘定の突合で合わない分 (P/L) 為替差損益に押し込む。

(1)について例示します。

(親会社)
子会社へ売掛金  (F10) ¥300

(在外子会社) フランス 決算時レート:F1=¥25
親会社から買掛金  (F10) ¥250
(精算表上の)連結消去・振替仕訳
親会社から買掛金 (F10) ¥250 子会社へ売掛金 (F10) ¥300
為替換算調整勘定 ¥50

(2)について例示します。

(親会社)

子会社へ売上 (F10) ¥300 ・・・(A)
仕入
¥P
(利益)
¥(300−P)
(在外子会社) フランス 決算時レート:F1=¥25

売上 (F11) ¥S
親会社から仕入 (F10) ¥250 ・・・(B)
(利益)
¥(S−250)

(利益) 計 = (S−P)+50

(精算表上の)連結消去・振替仕訳
子会社へ売上 (F10) ¥300 ・・・(A) 親会社から仕入 (F10) ¥250 ・・・(B)

為替差益 ¥50

※ 相対する(A)と(B)は相殺される。


売上 ¥S
仕入 ¥P
差益 ¥50

¥(S−P)+50
【5】 親会社の“在外親会社”

この親会社(¥)が、さらに外国の会社(例えば、£)から資本金50%超の投資を受けていたらどうなるでしょうか。
この場合、この親会社(¥)が外国の会社の「在外子会社」に当るだけのことで、その振舞の報告をすればいいのです。

目次
想定する会社環境
部品表
生産管理
原価計算
会計
前提とする会社環境
企業会計の基礎
「支店会計」について
利益処分について
前提とする通貨環境
外貨建勘定に関する基本項目
在外支店の本店通貨換算
在外子会社の親会社通貨換算
月締一括記帳と月締計上通知の情報処理
補助簿と補助元帳と元帳の情報処理
日次と月次会計の情報処理
支店と本店の財務諸表作成の情報処理
事業所合算・会社損益と会社合算・連結損益の相違
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