固定資産の償却は、一工夫して、特別な部門費管理をしなければなりません。
今まで述べた労経費のような管理では済みません。
繰延資産は、固定資産に準じます。
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| No. |
償却資産と償却費の特徴 |
| 1 |
償却費には、多数の償却資産が背後にあり、厳密に台帳管理されている。
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| 2 |
償却費は「(いつかは)支払いを伴なうストレートな費用」ではない。
見積測定経費で抽象的な損失項目で、一般の人にはわかりにくい。
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| 3 |
資産台帳は、大抵、経理部門の専任担当者が管理していて、簿価も償却額も、部外者にはマル秘である。
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| 4 |
もちろん、各部門は予算を立てられないので、何もかも経理の専任担当者にお任せ願うだけである。
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| 5 |
「あなたの部門の償却費負担額は、XXX円です」と言われても、自部門設置の資産とは限らない、多数の資産の1点1点の償却額の「合計」のはずで、反論しようがなく、「そうですか」と言うしかない。
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| 6 |
担当者にとっては、資産の取得/償却/除却等の一般会計以外に、償却費をうまく原価化するシステムを考えて、運用する役目がのしかかる。
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このような訳で、経理の専任担当者のために、償却費の発生計上と、原価へうまくオンする仕組みの両方を、併せて考えます。
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とにかく、固定資産(、繰延資産)の「台帳」が存在しているのですから、話しはそこから出発します。
台帳には、下記の「償却費の負担と発生」を管理する情報をもたせておいて下さい。
| No. |
資産台帳に保持させておく情報 |
| 1 |
各資産の償却費の負担方法と、具体的な負担先の情報。 |
| 2 |
各資産の償却費発生と負担を、 グルーピングして対応させる管理単位である「主管区分」。 |
考え方は、各資産ごとの償却費をストレートに負担先にもっていくのではなく、発生償却費は「主管区分」単位に受け止めることにし、負担先へは見積もった予算額を賦課して、なかでバランスをとろうというものです。
何にしろ、償却費は見積計算/実際償却ともに、1点1点計算して得るものですから、「計算して、どうする?」という管理基準を、資産単位に決めておく必要があります。
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負担方法は、部門負担か直課か、です。
| No. |
償却費の負担方法 |
| A |
1 |
1部門に負担させる。 |
| 2 |
複数部門に負担させ、負担率で個別部門にバラす。 |
| B |
職制部門に負担させず、製品直課する。 |
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A2については、今まで述べてきたような「共通費」管理を、資産単位に行うようなものです。
償却額を得た時点で共有部門に負担額をバラしてしまって下さい。
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Bは、償却費を職制部門に負担させない方が適当な資産のことです。
例えば、金型の購入/製作費など、起こした目的機種は、はっきりしているし、2年の短期償却なのだし、償却費を部門に落として加工費回収するより、購入/製作原価を、起こした目的製品が生産されたときに「1台何円」で製品直課し、直課回収原価と発生償却費とをバランスさせよう、というものです。
実際の償却費と直課回収額との仲立ちは、「主管区分にあたる抽象部門」が、これを行います。
「予算と部門費配賦、及び加工費レート」でも、「設計用役費」の直課回収について述べましたが、考え方も手法も、根は同じです。
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| 【4】 |
償却費の負担と発生を仲介する「主管区分」とは |
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これは、経理の専任担当者が合理的に決めればよいことです。
まず、販管系の資産は区分分離しておかなければなりません。
生販共用なら、「生」の主管区分の分担割合を決めておいて、発生時から償却費を生販分離して下さい。
製造系でも、部門負担と直課回収の区分はしなければなりません。
後は、資産の種別や帰属・実在場所も併せて、部門/直課の各々を適当に細分すればよいのです。
この「主管区分」に抽象部門を対応させ、主管・抽象部門として発生と負担の仲介をさせます。
仲介・分析は部門費の仕組みで行います。
よって、部門費差異は出ます。
部門に負担させる場合の部門費差異なら、「製造間接費配賦差異」に入れてもよいでしょうが、直課回収の場合は「加工費回収差異」と言うと、製造直接部門に誤解を与えますので、「直課回収差異」と称しておきます。
(注意) 償却費を主管する部門費勘定は、どの部門費勘定からも独立したものです。
ですから、当該部門費差異も独立したものとなり、通常の部門費差異と同じく、製造原価を控除すると共に売上原価にもっていきます。
この点、「共通費」の主管部門は、便宜的に設けたバッファー部門であって、そこでの差異は“本家”部門につっこんでしまい、本家の部門費分析に委ねます。
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まず、全体像を示します。
下図で「(償却費主管)XX抽象部門」と言っているのが主管・抽象部門で、台帳における「主管区分XX」に当たります。
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負担の「予」とあるのは、負担予算額のことです。
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直課回収の「実」とは、「標準原価」マスターに、「Bx抽象部門から、1台・何円で直課回収せよ」と入っている値を使うもので、生産のあがりで回収額が違ってくるため実としています。
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発生の「予(実)」は、月々の発生を予算で済ませる場合が「予」で、実際に償却を行う場合が「実」です。
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図で示した、償却費の処理方法を、順番に説明します。
前提は、経理の専任担当者が「資産台帳を確実にメンテナンスしている」ことです。
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「加工費レート」決めのためにも、「資産台帳」を元に、来期の償却費の見積計算をします。
各資産について、償却額を「発生予算」として見積もり、部門負担なら個々の部門に何円、と「負担予算」を計算します。製品直課なら「発生予算」だけです。
「主管」の抽象部門から直課回収されるためです。
下記に、発生/負担の計算データ、結果の「償却費負担予算テーブル」、及び「償却費発生予算テーブル」を示します。
発生予算テーブルは、部門負担なら負担予算を集計して得られますから、つくる必要もないように思われますが、作成時は同じであっても、将来、発生予算だけを変更したい場合を予測して、独立的につくっておきます。
直課回収の場合は、発生予算しかありません。
負担予算/発生予算のテーブルは、現在資産による来期見積もりですから、来期取得予定分は入っていません。
よって、担当者が取得予定情報を得て、メンテナンスできるようにしておいてやらねばなりません。
高額資産なら、台帳に予定登録しておいて、見積時にはこれも計算対象にする手もあります。
■ 発生/負担の計算データ
| 資産No. |
発生予算 |
主管区分 |
負担予算 |
| 償却費目 |
償却額 |
負担部門 |
| 資産1 |
○○償却費 |
XXX |
A1 |
部門1=XX、部門2=XX |
| 資産2 |
XX償却費 |
XXX |
A1 |
部門1=XXX |
| 資産3 |
○○償却費 |
XXX |
A2 |
部門1=XX、部門2=XX、部門3=XX |
| : |
: |
: |
: |
: |
| 資産n1 |
△△償却費 |
XXX |
B1 |
(P機種・製造オーダ直課) |
| 資産n2 |
△△償却費 |
XXX |
B1 |
(P機種・製造オーダ直課) |
| 資産n3 |
XX償却費 |
XXX |
B2 |
(P&Q機種・製造オーダ直課) |
| : |
: |
: |
: |
: |
■ 償却費負担予算テーブル
主管区分 A1 |
負担部門 部門1 |
2000年度 |
| 4月 |
5月 |
・・・・・ |
3月 |
(計) |
| ○○償却費 |
XX |
XX |
・・・・・ |
XX |
XXX |
| XX償却費 |
XX |
XX |
・・・・・ |
XX |
XXX |
| : |
: |
: |
・・・・・ |
: |
: |
| △△償却費 |
XX |
XX |
・・・・・ |
XX |
XXX |
| (計) |
XXX |
XXX |
・・・・・ |
XXX |
XXX |
■ 償却費発生予算テーブル(部門負担用)
主管区分 A1 |
2000年度 |
| 4月 |
5月 |
・・・・・ |
3月 |
(計) |
| ○○償却費 |
XX |
XX |
・・・・・ |
XX |
XXX |
| XX償却費 |
XX |
XX |
・・・・・ |
XX |
XXX |
| : |
: |
: |
・・・・・ |
: |
: |
| △△償却費 |
XX |
XX |
・・・・・ |
XX |
XXX |
| (計) |
XXX |
XXX |
・・・・・ |
XXX |
XXX |
■ 償却費発生予算テーブル(直課回収用)
主管区分 B1 |
2000年度 |
| 4月 |
5月 |
・・・・・ |
3月 |
(計) |
| △△償却費 |
XX |
XX |
・・・・・ |
XX |
XXX |
| XX償却費 |
XX |
XX |
・・・・・ |
XX |
XXX |
| (計) |
XXX |
XXX |
・・・・・ |
XXX |
XXX |
この「償却費負担予算テーブル」は、経理の専任担当者が「労務費」の如く管理します。
形は「労務費予算テーブル」と全く同じになっています。
各部門にとっては、「労務費」も「償却費負担額」も自部門費用なのですが、他所から情報をもらいます。
無論、自部門情報ですから検索できます。
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まず、原価計算のためには月次の部門負担額を計上しなければなりません。
償却費の発生計上法に関わりなく、各部門には「償却費負担予算テーブル」から、該当月の予算を実際として賦課します。
この方が、各部門には安定した額を提供できるし、システムとしても単純だし、こうするために主管・抽象部門を設けました。
但し、見積時の「負担予算テーブル」が、現実と大きく狂うような事態になっておれば、すなわち予定外の取得や除却があったり、予定時期が狂ったりしたら、「予算は変わっても仕方がない」のですから、未経過月以降は、【6.1】を行って修正しておいて下さい。
つづいて、主管・抽象部門が受け止める月次の発生額を計上します。
| No. |
期末償却/月次償却 |
発生計上の方法 |
| 1 |
月次は予算で済ませ、期末に償却を行う場合 |
償却費発生予算テーブルから該当月データを計上します。
この場合、償却費の相手勘定は「償却費累計額」とせず、中間的な引当金を相手にしておいたほうが、 期中・期末の区別がついてよろしいでしょう。
「主管・抽象部門」では、部門負担の場合は、差異は出ないか、出ても僅かでしょう。
直課回収の場合は、貸方金額は生産高によりますから、何ともいえません。
|
| 2 |
月次に実際償却を行う場合 |
「資産台帳」を元に、該当月について、【6.1】を行って、 発生予算テーブルの該当月にあたるデータを発生させます。
「主管・抽象部門」では、部門負担であろうと直課回収であろうと、 いくらかの差異は出てくるでしょう。
|
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月次に実際償却を行っておれば、これは無用ですが、期末にドンなら、「資産台帳」を元に、【6.1】を「年間」について行い、年間償却額を得て下図のように処置します。
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| 【6.4】 |
○○償却費とは、「減価償却費」か「○○償却引当金繰入」のことです |
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ここでは「○○引当金」の相手勘定を「○○償却費」としてきました。
月次に実際償却する場合も多いからですが、実際償却なら費目は資産種類別にせず、「減価償却費」1本にまとめて下さい。
しかし、月々、予算を実際として仮償却しておくなら、相手勘定を「○○減価償却引当金繰入」にしておき、年次の実際償却のとき、引当金の取り崩しと共に「繰入」を正式の「減価償却費」に振り替えておくほうが、期中・期末を区別しやすくてよいでしょう。
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生産設備の投資などによって、部門負担の償却費が、部門費のウエイトを大きく占める場合があります。
償却費も部門費となる費用ですから、ここで解説しましたが、相当ややこしく、運用面でも難題です。
しかも、負担部門にとっては管理不能費ですから、システムとしては気を遣わなければなりません。