コラム

生産管理についての考察

ここで言う「生産」とは、狭義のモノ造り行為で、加工組立工程と思って下さい。 筆者は、長年の製造業の体験が身にしみついているので、モノ造り行為と、生産管理することと、その両方に関する情報システムサービスの「仕事分担」は、違ったものととらえています。 ですから、情報システム担当者が何気なく「生産管理」とか「生産管理システム」と言うと、「情報システムで何を管理するのだろう」とつい違和感を持って聞いてしまいます。

生産するのは製造現場であり、生産がスムーズにいくように計画し、手当てし、営業渡しまでウォッチするのが生産管理部門です。 そして、その生産管理業務を情報面でサポートするのが生産管理情報システムで、役割分担はまるで違う筈です。筆者が「工程(→製造現場)のジャマするな」と言うのはこういうとらえ方をしているからで、実際、生産管理の担当者でも現場にズカズカ入って行っては、かえって混乱を招きます。

我々情報屋としては、生産管理担当者と一緒に生産を深く深く学び、生産とその関連を管理するにはどうしたらよいか、「管理の仕組み」を考え、そして情報システムをどう造ると最もよく生産管理等に資することができるかを、互いに納得するまで討議し、システム構築すべきだと思うのです。 要は、本音のところ、生産管理情報システムの運用は、生産管理部門に行ってもらう必要があるからです。

生産とは、外部調達してきた部材を使って、加工という過程を経て、製品に仕上げる行為です。 部材の「費用」と加工作業の「費用」が、仕掛という「資産」を経て、製品という「資産」に化けます。

よって生産は原価を累積していくプロセスとも言え、部材から仕掛品、製品に至る棚卸資産の正味の価値のことを「原価」と言います。 生産の成果は原価管理の視点で評価されるのは、当然のことです。 「速く造った。沢山造った」と言われても、速く大量にそれだけの費用を掛けたことですし、不要不急の資産として寝るだけかもしれなし、「経営的に意味のある原価形成をしたのか」が問われなければなりません。

生産管理の仕組みは、会社トータルとして「必要なときに必要なだけ、最も合理的に生産する」ように構築しておかないと、つい経営的に無駄使いを進めてしまうやっかいなものなのです。

何気なく扱っている部材は勿論、仕掛品に、みな“値札”がついていたとしたら、生産管理に携わっている者は特に緊張して、意識が変わる筈です。 不要不急の部材調達や、今やっている不便・不具合・或いは疑わなかったことについても、すぐに見直しをかけることでしょう。 生産側の都合とおカネを天秤にかけて、「もっと合理的な扱い法・管理法はないものか」と経営管理視点で知恵を絞ることでしょう。

この棚卸資産の扱いについては、経理の原価計算部門や情報システム部門が積極的に参画して、一緒に考えるべきです。 棚卸資産の扱いにおカネの視点が抜けた、モノの動かしだけの生産管理の情報システムが見うけられるのは、実に残念です。

では、生産管理の情報システムとしては、具体的に何をすればいいのでしょうか?

各社各様のスタイルはあるでしょうが、下記の例に於て、各々のサブシステムに主たる利用部門が存在しても、みな生産管理部門が窓口となってシステム運用していきます。 そのためには、生産管理部門の中に「情報管理」部門を設けると、うまくいきます。 特に、「技術・生産・原価」を統合する部品表のしっかりした維持が生産管理情報システムの要ですから、情報管理部門が頼もしく立ってくれないと、会社として「正」が定まりません。

1 品目及び部品表 for 設計部門と、生産管理部門
2 生産計画と生産手配 for 生産計画部門と、生産管理部門
3 資材調達手配と仕入納品 for 資材購買部門と、生産管理部門
4 各種在庫管理 for 資材管理部門等と、生産管理部門
5 資材投入管理 (含、支給) for 現場資材部門と、生産管理部門
6 製造作業と生産報告 for 製造作業部門及び外注先と、生産管理部門

役割分担が違うのだから、モノ造り部門に直接立入るのは、生産管理部門に任せておけばよいのです。 「生産は生きもの」と言いますが、根は工程が生きもので、工程に働きかける作業はもっと生きもので、下手に介入した情報システムなど、とても変化についていけず、ジャマすることになりかねません。 工程に関わった情報システムを造るについては、必ず生産管理部門を通じて行うべきです。 スタッフである資材部門等に関わるシステムでも、生産管理部門に立ち合ってもらいます。

情報システム部門は情報システムの運転はできても、生産システムの運用管理にタッチしていけるワケがありません。 生産管理部門に運用してもらうようにしておかないと、責任を果せず、マズイことになってしまいます。

設計部門から技術情報を受け継いで(→というより、半分位は情報づくりに参入して)、営業部門に製品を引渡すまでの全プロセスを、合理的にいくように統括管理するのが、生産管理部門です。

生産の業務遂行に関わる指令は、役員会テーマでは無理です。 どうあっても、生産管理部門が会社規模で仕切ってくれないと、各部門にうまく業務分担指示できかねます。 合理化の名のもとに、スタッフとはいえ生産管理部門の人間をクビにしたりするのは、問題かと思います。

生産管理についての考察
経営者視点での生産管理情報システムの考察
製品製造原価と原価計算との相関
MRP運用で慢性的な欠品、在庫増の状態に陥る状況の考察
部品表の親子関係は、生産管理の視点では、何を記述したものでしょうか
製作品の前後工程、及びオモテとウラの部品表情報について
モノ造りの仕方と部品構成との関係
製品(含、資材売上する自製部品等)に関して、部品表作成で留意しておくこと
支給ということの考察
モノ造りに関わる、作業環境及び条件の基礎情報
「製品タイプ」と部品構成との関連
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